スタッフブログ
院長コラム|痛みを正しく理解することが、治療の第一歩である理由—侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・痛覚変調性疼痛の鑑別と、損傷組織/損傷神経の特定という視点ー
◆はじめに
こんにちは。
市川駅徒歩30秒のわかば鍼灸整骨院市川本院 院長の土谷です。
私は20年間、数多くの“痛み”と向き合ってきました。
その中で強く確信していることがあります。
「痛みを治すためには、まず“痛みの種類”を正しく理解することが必須である。」
世の中には「ストレッチすれば治る」「姿勢を直せば治る」などの情報があふれていますが、実際の臨床では 同じ“腰痛”でも原因がまったく異なる ことが珍しくありません。
痛みには医学的に明確な分類があります。
-
侵害受容性疼痛(組織損傷による痛み)
-
神経障害性疼痛(神経の損傷による痛み)
-
痛覚変調性疼痛(心因・中枢の痛覚処理の異常)
治療の質は、この3つを正確に鑑別できるかで大きく変わります。
また、私は臨床で
「損傷している組織は何か?」
「損傷している神経はどれか?」
という2つを明確にすることを最も大切にしています。
以下で、痛みの分類と鑑別の考え方を解説していきます。
◆① 侵害受容性疼痛(Nociceptive Pain)
もっとも多い“ケガ由来”の痛みです。
● この痛みの特徴
-
実際に組織が損傷している
-
筋肉・靭帯・腱・関節包などの微細損傷
-
動作により痛みが増悪
-
炎症(熱・腫れ)を伴うことも多い
● 臨床でよくみられる例
-
多裂筋の微細損傷
-
腰部筋膜の炎症
-
足関節捻挫
-
肩の腱板ストレイン
● 鑑別ポイント
-
圧痛点が明確
-
動作で再現性がある
-
神経症状を伴わない
● 治療の方向性
-
損傷した組織の回復促進
-
過緊張筋の抑制
-
炎症のコントロール
-
正しい動作への誘導
臨床で最も多い痛みですが、軽視すると慢性化しやすい痛みです。
◆② 神経障害性疼痛(Neuropathic Pain)
筋肉由来と誤認されやすい、もっとも難しい痛みです。
● この痛みの特徴
-
神経が直接損傷または圧迫されている
-
電気が走るような痛み
-
しびれ・灼熱感・感覚鈍麻がある
-
安静時も痛みを感じることがある
● 臨床でよくみられる原因
-
椎間板ヘルニアによる神経根圧迫
-
上殿皮神経障害(多裂筋の硬結による圧迫)
-
モートン病
-
尺骨神経障害
● 鑑別ポイント
-
神経走行に沿った放散痛
-
しびれ・感覚低下
-
MMT(筋力)低下
-
神経誘発テスト陽性(SLRなど)
● 治療の方向性
-
神経滑走
-
圧迫原因の除去
-
神経周囲の炎症軽減
-
姿勢・身体操作の修正
神経障害性疼痛は “揉む・伸ばす” など、誤ったアプローチで悪化することがあるため注意が必要です。
◆③ 痛覚変調性疼痛(Nociplastic Pain)=心因性疼痛
いま世界的に最も注目されている痛みの概念です。
● この痛みの特徴
-
組織も神経も損傷していない
-
痛みの主原因が「脳の痛覚処理の異常」
-
ストレス・不安・睡眠障害などが影響
-
検査では異常が見つからない
● このタイプに多い状況
-
痛みと身体所見が一致しない
-
痛みが長期間続く
-
医療機関を転々とする
-
気分の落ち込みが痛みを増幅
● 治療の方向性
-
認知行動療法的アプローチ
-
恐怖回避行動の軽減
-
適切な運動療法
-
自律神経・睡眠の調整
特に慢性痛の多くが、この痛覚変調性疼痛を基盤にしています。
◆痛みを治す鍵:
「損傷組織」と「損傷神経」を特定すること
私が臨床で最も重視している視点がこれです。
●損傷組織の特定
-
筋なのか?
-
腱なのか?
-
靭帯なのか?
-
関節包なのか?
-
椎間板なのか?
どの組織が壊れているか分かると、治療の方向が完全に決まります。
●損傷神経の特定
-
神経根?
-
末梢神経?
-
皮神経?
-
自律神経の過緊張?
多裂筋の硬結による 上殿皮神経障害 などは、
「筋肉のコリ」と誤解される典型例です。
神経が原因なのに筋へアプローチすると、むしろ改善が遅れます。
◆私の治療の根幹
「痛みは分類できる。分類できれば治る。」
痛みを曖昧に扱えば、治療も曖昧になります。
しかし痛みを正しく分類できると、
-
施術の方向性
-
使用する技術
-
改善までの期間
-
セルフケア指導
このすべてが“論理的”に組み立てられるようになります。
◆患者さんへ伝えたいこと
痛みの理由が分かると、痛みは半分軽くなります。
あなたの痛みが
-
侵害受容性なのか
-
神経障害性なのか
-
痛覚変調性なのか
そして
-
どの組織が損傷しているのか
-
どの神経が原因なのか
これを明確にできるかどうかが、治るスピードを決めます。
市川駅徒歩30秒のわかば鍼灸整骨院市川本院では、
この“痛みの鑑別”を最も大切にしています。















